北の編入生の部屋

北大法学部編入生が編入受験生に向けていろいろと発信します

編入試験は簡単なのか

こんにちは。IHです。

 

突然ですが、編入試験ってありますよね。

このブログをご覧になっている皆さんは、編入試験について興味をお持ちで、受験を検討されていることと推察します。

その中で、編入試験って一般入試より簡単なの?」と疑問に持たれている方もきっといらっしゃることでしょう。

折角なので、夏の夜長につらつらと書き連ねてみようかな、と思い、この記事を立てました。

最初に断っておきますが、こちらの記事における編入試験とは文系の編入試験の話で、かつ完全なる私見です。

 

 

1. 編入試験はスペシャリストを集める試験

特に国公立大学において顕著ですが、一般入試の場合、専攻に直接関わらない科目も含めて満遍なくこなせることを前提として、その中でも文系ないし理系に特化した学力を持っているかを問われます。一般的に、科目数が多い代わりにそれぞれの科目についての深い知識は不要で、ほどほどに出来ていれば大丈夫です。

これは、大学に入った後、4年間に及ぶ教育課程に付いて来られるか、そのポテンシャルを推し量っているのでしょう。様々な科目をそつなくこなせるのであれば、大学の多種多様な講義にも付いて来られるだろうし、問題なく勉強できる能力があるだろう、と。

一方で、編入試験は教育課程の途中からお邪魔する形で入学することになります。最初はゼネラリストだった同学年の内部生も、その大学の教育課程でスペシャリストの方向へと鍛えられた状態です。したがって、編入試験を実施する場合、入学させる学生がゼネラリストであるかどうかはどうでもよく、鍛えられた後の内部生と同等の知識を有した学生を入学させなければ意味がありません。

そのようなわけで、編入試験においては科目数を絞り、より高度な知識を問う問題が出題されるのですね。高度と言ってもほとんどの大学では基礎知識が中心に問われるわけですが。また、当然ですが2年次編入より3年次編入のほうがこの傾向は強くなります。1年次は一般教養だけ、という大学もありますので、2年次編入はある程度ポテンシャル採用の側面があるように窺われます。

 

2. 科目数が少ない=楽?

では、実際にどのような科目がいくつ課されるのでしょうか?

試しに、私が所属する北海道大学法学部の募集要項を見てみましょう(PDF注意。昨年のものになります)。https://www.juris.hokudai.ac.jp/ug/wp-content/uploads/sites/2/2019/09/97c670d92268e4c1e51688c2b2f35777.pdf

3ページに、2年次編入は小論文と英語、3年次編入は専門科目と英語って書いてありますね。併願者は3科目です。

「たった2、3科目やるだけで北大生になれるとかチョロいな、AO入試かよ」と思われるかもしれませんね(AO入試を蔑む意図はございませんが、世の受験生はAO入試=楽と誤想しがちです)

ただ、裏を返せば、科目数が少ないぶん失敗はできないということになります。当たり前ですね。しかも、編入試験の問題は一筋縄ではいかない問題ばかりですので、どうせ基礎知識からしか出ないんだろうと舐めてかかると落ちます(基礎学力の暴力で受かった友人もいますが)

ということは、出題科目については基礎知識であっても盤石で強固な知識を付け、かつ当日どの科目も失敗をしてはならない厳しい試験になります。倍率も一般入試のそれに比べると遥かに高いです。また、一般入試と違い、大学によっては合格者0人とかもざらにあります。

さて、これでも楽と言えるでしょうか?

 

3. 編入試験を選ぶべき人

一般入試より編入試験を選んだほうがよい人は、どのような人なのでしょうか。一部、過去の記事とも重複しますが、軽くまとめてみましょう。【主観】北大の2年次編入に受かりやすい人【私見】 - 北の編入生の部屋

 

①英語が得意な人

だいたいの大学の編入試験はどのような形式であれ英語が課されます。英語に自信がある方はそれだけで編入試験を受験する価値があります。逆に、英語にそれほど自信がない方は編入試験の受験についてはそれほどおすすめしません。

 

②文章を書くのに抵抗がない人

一般入試では全部マークシートみたいな大学もありますが、編入試験で全部マークシートの大学は見たことがありません。もしかしたらあるのかもしれませんが。

全部記述式なので、文章を書くのが苦手とか、論述とか考えただけで背筋が凍るとか、そのような方は編入試験の受験を考え直したほうがよいかもしれません。

 

③数学があまり得意じゃない人(経済系除く)

編入試験には経済など数学を使う学部以外、数学が課されることはありません。

「国公立に行きたかったけど数学のせいで私立に行かざるを得なかったぐぬぬという方も国公立大学に行けるチャンスです。

とは言え、実際法学部のように論理力を強く求められる学部では、数学が得意だと有利に働くと思います。数学的思考力があるに越したことはありません。

ただ、数学が直接問われることはありませんし、「数学が苦手=論理力が壊滅的」なわけでも決してありませんので、数学が苦手な方でも合格できます。ソースはセンター数学5.5割の私です。

 

④浪人・留年・再受験をした人

人によって考えが異なると思いますが、+4の年増である私からの意見です。年増が仮面浪人をするのは傷口に塩を塗るようなものです。編入であれば歳を重ねることはありません(3年生のときに3年次編入を受験したら+1になる等はありますが)

受験後+2になる程度なら仮面浪人でもよいとは思いますが、それ以上となると途端にレアキャラになります。それに、やはり多少は色眼鏡で見られてしまいます。

大学はあらゆる年齢の人に門戸が開かれていますが、残念ながら日本社会はそうでもないようで、高齢になればなるほど選択肢が狭まり、社会に出にくくなるように思われます。

心の底から本当にやりたいこと、行きたい大学があるけど、その分野、その大学では編入試験をやっていない、というような場合を除けば、可能な限り多く編入試験を受験し、仮にダメだったらそのままその大学を卒業したほうがよいと思います(正直私も現役のときに入った大学を無理してでも卒業すればよかったかな、と考えることは度々あります)

非常に残念なことですが、再チャレンジに不寛容な傾向が比較的強い日本社会においては妥協が必要な場面もあるのではないでしょうか。何だかんだ人生は後悔の連続です。どの選択肢を取ってもある程度は後悔するものですから、将来の悪影響を少しでも減らせる選択肢を取るべきだと私は考えます。私と致しましても再チャレンジに不寛容な傾向の是正を望むのですが。

 

4. おわりに

編入試験は人によって向き不向きが分かれる試験です。一般入試と比べてどっちが簡単、どっちが難しいとは一概には言えません。

ただ一つ言いたいことは、編入試験を甘く見てはいけない」ということです。だいたい落ちます。結局のところ、歴史などと同じで、表舞台に出ているのはごく一部の成功者だけで、裏では敗れ去った者の屍の山が積まれていることを忘れてはなりません。編入試験はめっちゃ楽だよ」などと宣う、ごく一部の成功者の声を鵜呑みにしないようにしましょうね。

 

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。